そもそも自動車ディーラーとは

2016/09/18

ディーラーのお仕事

そもそも自動車ディーラーとは何ぞや?単にクルマ屋である、と言ってしまえばそれまでだが、少し掘り下げて解説してみようと思う。

自動車を売るだけにあらず

自動車の販売店です、と言ってもディーラーの営業マンが行うのは新車・中古車のPRだけではない。点検、車検の案内、自動車保険やJAFの勧誘も大切な業務である。逆に言えば、近年は車両の販売だけでは十分な収益が得られない、ということでもあるが……。具体的な数値の明示は避けるが、凡そ利益の半分程度はこれら「その他」の部分が占めると思ってもらっても良いだろう。
営業マンは当然、「その他」の部分に関する知識も豊富でなければならないし、同時に客に気取られぬように(不快感を与えぬように)その業務を圧縮して楽をするかを考えなければならない。で、なければ新車など悠長に売っていられないのである。


「トヨタで働いてます」と言っても……

自動車ディーラー(販売会社)と自動車メーカー(トヨタ、日産、ホンダetc……)は別物であるということは知っておいたほうが良いだろう。これは未だに勘違いしている人が多い点であるが、○○トヨタカローラの営業やメカニックはトヨタ自動車に籍を置いているわけではない。大手に就職できたと思っている就活生や父兄がいるとしたら、大変恥ずかしい思い違いをしているわけである。気をつけておこう。


正規販売店と業販店

自動車の販売店のうち、一般に「正規販売店」と呼ばれるものの定義とは、メーカーと直接の取引があり、特定車種の独占販売契約を結んでいる販売店ということになる。それ以外には個人経営の整備工場や中古車販売店が業販店(サブディーラー)として存在しており、これらは各地方の販社の業販部門、又は業販専門の販社から新車の仕入れを行っている。多くの個人客がショールームで商談をしている間、裏手の事務所では卸の業務も行われているのである。

※業販と対称に個人客相手の販売形態を直販と称する。
※ちなみにロータスクラブの車屋さんの看板に描かれている顔は店主の似顔絵であり、店ごとに違う。


メーカー系と地場資本系に分けられる

正規販売店はその形態として、メーカー系と地場資本系に大別できる。メーカー系は読んで字の如く自動車メーカーの子会社で、経営幹部としてメーカーの人間が出向するなど人員の交流も存在する。一方で地場資本系の場合は、地元の有力者が経営者となり、各ブランドの看板を掲げている。例えばホンダカーズ東京などは大規模な地場資本ディーラーの良い例で、かつては日本バイク工業という二輪屋さんが大きくなったものである。


販売系列ごとに違うラインナップ?

一自動車製造会社が複数のブランド、及び販売経路を持つという方式は、GMのアルフレッド・スローン(1875-1966)の時代に確立されたもので、本邦においてもバブル期前後には多く見られた。現在では複数チャネル方式を取るのはトヨタのみとなっているが、レクサス、トヨタ、トヨペット、カローラ、ネッツの各店舗で販売車種の構成が全く異なることに気を付けなければならない。

※2020年5月以降、トヨタ販売店の車種統合が進み、系列ごとの違いは少なくなる予定である。