2017年の"最も安全な車"について考える

2017/12/29

IIHS 持論・暴論 車の安全

米国道路安全保険協会(Insurance Institute for Highway Safety, IIHS)によって、2017年中に発売された車について、"Top Safety Pick+"及び"Top Safety Pick"を受賞したものが発表された。今年は助手席側のスモールオーバーラップ衝突試験や、ヘッドライトの照射能力が試験項目に加わったため、受賞した車種は前年よりも減少している。これは消費者にとって大変素晴らしいことで、抜き打ちで検査項目を増やすことで、真摯に安全対策に取り組んでいるメーカーと、アセスメントの星取りしか考えていないメーカーを容易に見分けることが出来る(もちろんモデルチェンジサイクルの影響もあるのだが)。ゆるゆるの検査基準で、メーカーにお墨付きを与えるだけのJNCAPは大いに反省してもらいたいものだ。

ちなみに国内でも正規販売されている車種の受賞状況は次の通り
Top Safety Pick+
スバル・インプレッサ
スバル・WRX
スバル・レガシィB4(レガシィ)
スバル・レガシィアウトバック(アウトバック)
トヨタ・カムリ
BMW・5シリーズ
メルセデス・ベンツ・Eクラス
メルセデス・ベンツ・GLC

Top Safety Pick
スバル・フォレスター
マツダ・アクセラ(マツダ3)
マツダ・CX-3
マツダ・CX-5
トヨタ・プリウス
トヨタ・プリウスPHV(プリウスプライム)
レクサス・IS
レクサス・NX
レクサス・RX
ホンダ・アコード
ホンダ・CR-V
日産・ティアナ(マキシマ/アルティマ)
日産・エクストレイル(ローグ)
三菱・アウトランダー
アルファロメオ・ジュリア
アウディ・A3
アウディ・A4
BMW・3シリーズ
メルセデス・ベンツ・GLEクラス
ボルボ・S60
ボルボ・V60
ボルボ・XC60


海外のアセスメントを参照する際に、注意しておかなければいけない点がある。それは、あくまでも評価されているのは海外仕様車である、ということだ。同じ安全性能を発揮するかどうかは、メーカーの良心次第である。例えば、トヨタ・ヴィッツのエアバッグシステムは、運転席助手席の2つのみが標準装備で、サイドとカーテンエアバッグはオプションだが、北米仕様(現地名ヤリス)では全グレードで9つものエアバッグが標準装備である。スズキも同様にして、イグニスでオプション設定のサイドエアバッグは中国仕様では標準装備。「提供絶対的安全」なんて中国のwebサイトでは謳っている。よくよく見てみると、日本では装備すらされていない後席中央ヘッドレストまで付いているではないか!自称愛国者のスズキユーザー諸君、おめでとう。君たちよりも中国のお客様が大事だとスズキは判断しているぞ。