ジムニーという名車

2018/05/20

持論・暴論

スズキが誇る超硬派な一台……それがジムニーである。
その起源は1967年に開発されたホープ自動車のホープスターON型に遡る。これを現会長である鈴木修氏が買い取って自社製品としたのがジムニーの歴史の始まりであった。以来、モデルチェンジはわずかに2回。基本的な構成はそのままに現在に至る。
なぜ、この良くも悪くも古色蒼然とした車が多くのファンを獲得し、名車と呼ばれるようになったのであろうか。それは、とにもかくにも「Only One」を極めているからに他ならない。

ジムニーの特徴とは
その1)漢のラダーフレーム!モノコックボディはお呼びではない。(※1)
その2)副変速機付きのトランスファ!もちろん手動切替式で「2WD」「4WD」「4WD-Low」に切替可能だ。現行型からスイッチポンで切り替えができるようになった。
その3)前後リジットアクスルという仕様!下からの衝撃に強いだけでなく、片輪が浮いた状態では反対側が地面に押し付けられ、高い駆動力を発揮する。構造もシンプルなので、リフトアップの改造も行いやすい。
その4)軽自動車である!ランクルだのパジェロだの、サファリだのとの最大の違いは「軽自動車」であること。これに尽きるだろう。日本の林道は狭い。温泉地ならばともかく、一般人の観光を想定していないダムや電力設備に続く道では、このサイズが大きな武器となる。それに車体も軽いから、雪道や軟弱地での取り回しが良いこともメリットだろう。
その5)モデルライフが長い!前述の通り、2018年5月現在、ジムニーはたった2回しかモデルチェンジしていない。そのおかげで、カスタムパーツも比較的多く、1台で長く楽しむことができるのだ。


最近のSUVブームで猫も杓子もロールスロイスもSUVを出す時代となった(※2)しかし、そのほとんどはごく普通の乗用車をベースとしたファッションカー、温泉車であり、ジムニーほど実用一辺倒、汗臭さを感じる仕様のものは皆無である。
確かに日常生活では、ここまで本格的な悪路走破性は必要ないかもしれない。乗り心地も燃費も悪いし、走行中もうるさいかもしれない。けれども、この汗臭さ、本物感がユーザーの心を掴んでいるのである。
そんなジムニーも現行型の生産は終了し、新型の登場を待つばかりとなった。「どこが新しくなったのか」よりも、「どこまで今までどおりか」が気になる車もそうそう無いだろう。


※1ひどい街乗りSUVになると対角スタック時に大きく車体が歪み、オートリアハッチが作動しないものもある。
※2でもみんな昔は腰高のレオーネ4WDを馬鹿にしていたのである。